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住宅宿泊事業

民泊(住宅宿泊事業)を始める前に

 住宅宿泊事業(いわゆる民泊)は、旅館業法の許可を取得せずに、住宅を活用して宿泊サービスを提供できる制度です。  
 この事業を始めるには、京都市へ届出を行い、法令や条例に基づいた管理体制を整備する必要があります。

 本ページでは、制度のしくみ・届出までの流れ・準備すべき書類・注意点などを、初めての方にも分かりやすく整理しています。  
 ご自身の住宅が届出対象となるかどうかの確認や、必要な手続きを進めるための参考としてご活用ください。

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住宅宿泊事業とは(民泊制度の概要)

住宅宿泊事業とは、自宅や賃貸住宅などを活用して、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業です。
年間180日以内の営業であれば、旅館業法の許可を取得せずに運営できる制度で、2018年施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいています。

制度創設の背景

  • 民泊の急増により、騒音・ゴミ出し・安全面などのトラブルが社会問題化

  • 一方で、観光客の多様な宿泊ニーズに対応する必要性が高まる

  • これらを踏まえ、一定のルールのもとで健全な民泊サービスを普及させるために制度化

住宅宿泊事業の定義と要件

 

項目
内容
定義
宿泊料を受けて、住宅に人を宿泊させる事業(年間180日以内)
対象住宅
台所・浴室・便所・洗面設備があり、居住実績または入居者募集履歴がある住宅
宿泊日数
年間180日以内(毎年4月1日正午〜翌年4月1日正午で算定)
届出先
都道府県知事または保健所設置市の市長(例:京都市)

家主居住型と家主不在型の違い

住宅宿泊事業には、運営形態に応じて「家主居住型」と「家主不在型」の2種類があります。
この区分により、管理業務の委託義務や届出要件が大きく異なります。

 家主居住型

  • 届出住宅に家主が居住している状態で宿泊者を受け入れる形態

  • 原則として、宿泊者滞在中に家主が住宅内にいることが求められる

  • 一時的な外出(生活必需品の買い物など)は認められるが、原則1時間以内、最大でも2時間程度まで

 委託管理の要否

  • 家主が宿泊者滞在中に住宅内にいる場合は、管理業者への委託は不要

  • ただし、宿泊者滞在中に長時間不在となる場合は、家主不在型とみなされ、委託が必要

 家主不在型

  • 届出住宅に家主が居住していない状態で宿泊者を受け入れる形態

  • 投資用物件や別荘など、家主が日常的に住んでいない住宅が対象

委託管理の要否

  • 住宅宿泊管理業者への委託が法律上必須

  • 委託契約を締結し、宿泊者対応・名簿管理・苦情対応・清掃などを管理業者が担う

  • 管理業者は国土交通省の登録業者である必要あり

 現地対応管理者の配置(京都市の場合)

  • 届出住宅から道のりで約800m以内(徒歩10分程度)に待機場所を設け、常駐させる必要あり

  • 苦情対応・設備不具合・宿泊者本人確認などに迅速に対応できる体制が求められる

比較表:家主居住型 vs 家主不在型

項目
家主居住型
家主不在型
居住要件
届出住宅に居住
居住していない
宿泊者滞在中の不在
原則1〜2時間以内
不在(長時間)
管理業者への委託
原則不要
法的に必須
現地対応管理者
不要
必須(徒歩10分圏内)

注意点と届出の重要性

  • 無届で民泊を行うと、旅館業法違反(無許可営業)として罰則対象

  • 届出後も、定期報告(2か月ごと)があるため、継続的な管理が必要

届出における全体の概要

 住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)は、旅館業法の枠外で住宅を宿泊施設として活用するための制度です。  
 京都市では、事業者が適正に届出を行い、地域住民との調和を図ることを重視しています。

 

1️⃣ 事前協議の重要性
 届出前に医療衛生センターでの事前相談を行うことで、書類不備や制度誤認による届出拒否を防ぎます。
 特に、消防法令や用途地域の制限など、届出住宅の条件によっては事業実施が困難な場合もあるため、早期確認が不可欠です。

2️⃣ 届出書の提出先・部数

​ 2部(正本1部、副本1部)
 届出は京都市医療衛生センターの窓口でのみ受け付けられます。郵送不可。
 副本は届出者控えとして返却され、将来の変更届にも使用するため、保管が必要です。

 

3️⃣ 届出番号の発行と標識の交付
 届出番号は事業者の識別コードであり、標識は宿泊者・近隣住民への制度的な告知義務です。
 標識は京都市指定様式に従い、住宅の見やすい場所に掲示する必要があります。

 

4️⃣ 届出手続きの流れ
 制度上、届出は単なる書類提出ではなく、事前協議・書類準備・標識掲示など複数のステップを経 て初めて事業開始が可能となります。

5️⃣ 事前確認ポイント
 届出住宅の立地・構造・設備・周辺環境に応じて、事業実施の可否や制限が生じます。
 特に以下の点は、届出前に必ず確認すべきです

ポイント

ポイント
内容
解説
用途地域
住居専用地域では営業期間が限定
原則1月15日〜3月16日のみ営業可。都市計画課で事前確認必須
避難通路
幅員1.5m未満の場合は宿泊人数制限
1組5人以下+現地対応管理者の配置が必要。消防署と相談
安全措置
耐火建築物でない場合は3階以上使用不可
消防法令適合通知書が必要。非常用照明器具の設置も要確認
近隣周知
町内会・自治会への説明が必要
説明会または個別説明。報告書提出義務あり
廃棄物処理
許可業者との契約が必要
一般廃棄物収集運搬業者との契約。地域ルール遵守
専門家活用
消防設備士・行政書士などの活用推奨
書類作成・設備設置・届出代理などで支援可能

🛑 注意点

  • 各ポイントは届出住宅の構造・立地・設備により制限が生じる

  • 事前確認を怠ると、届出後に事業不可となるケースもある

届出対象住宅の事前確認

住宅宿泊事業を行うためには、使用する住宅が法令に定める「届出住宅の要件」を満たしている必要があります。住宅の構造や設備、所有・使用状況などについて、具体的な確認項目を案内します。

✅建物の種類

一戸建て・長屋・共同住宅・寄宿舎

備考 その他用途は届出不可

✅居住実績

3ヶ月以上の居住履歴

備考 空き家や空き室は対象外

✅設備の有無

台所・浴室・便所・洗面設備あり

備考 浴室はシャワー室でも可

✅使用状況

現に居住している/随時居住の用に供されている

備考 別荘も含む場合あり

✅募集状況

入居者募集の有無

備考 居住実績がない場合のみ

✅事業利用履歴

他用途での使用履歴の有無

備考 居住実績が必要

✅所有形態

自己所有/賃貸(承諾書要)

備考 賃貸はオーナーの同意必須

✅管理規約

分譲マンションの規約確認

備考 共同住宅の場合は要確認

✅安全措置

避難通路・消防設備の基準適合

備考 消防法令適合通知書が必要な場合あり

✅用途地域

住居専用地域かどうか

備考 住居専用地域の場合、営業期間制限あり

📄 詳細なフロー図はこちら → [京都市HP 届出対象住宅事前確認フロー図PDF]  https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000287/287839/03_zizenkakunin.pdf

 住宅宿泊事業届出準備のチェックリスト

住宅宿泊事業の届出を行うには、事前に確認すべき項目が多数あります。  
このチェックリストは、京都市が定める届出要件をもとに、準備すべき事項を簡潔に整理したものです。  
届出前に、以下の項目を一つずつ確認し、必要書類や条件を整えてください。

項目
内容
01
届出者の確認
届出者が個人か法人かを明確にし、欠格事由(例:禁錮以上の刑歴など)に該当しないかを確認。外国法人の場合は国内代理人が必要。
02
用途地域の確認
都市計画法に基づく地域区分。住居専用地域では営業期間が制限されるため、都市計画局への事前確認が必要。証明書類の提出を求められる場合あり。
03
設備要件
台所・浴室・便所・洗面設備が住宅内に設置されているか。便所・洗面設備は宿泊定員5人につき1つ以上必要。兼用不可。
04
住宅の種類
一戸建て・長屋・共同住宅・寄宿舎のいずれかであること。建物登記が必要。
05
居住実績
届出者が3か月以上居住しているか、または賃貸募集実績があるか。水道・電気・ガスの使用実績が証明書類として必要。
06
管理方法
「家主居住型」「家主不在型(委託不要)」「家主不在型(委託要)」のいずれか。家主不在型の場合は管理業者への委託が原則必要。
07
現地対応管理者の確保
委託型の場合、届出住宅から道のりでおおむね800m以内(徒歩10分以内)に待機場所を設け、そこに現地対応管理者を常駐させる必要があります。苦情・緊急対応・設備不具合などに迅速に対応できる体制が求められます。
08
避難通路
最も狭い箇所の幅員が1.5m以上あるか。未満の場合は宿泊人数制限や現地対応管理者の配置が必要。
09
安全措置
非常用照明器具や避難経路図の設置が必要。住宅宿泊事業法に基づく安全措置チェックリストを参照。
10
建物登記
登記事項証明書(発行後3か月以内)が必要。登記されていない建物は届出不可。
11
廃棄物処理
ゴミは事業系廃棄物として処理。許可業者との契約が必要。家庭ゴミとして出すことは不可。
12
図面作成
宿泊室・設備・安全措置を記載した図面を作成。面積基準(例:3.3㎡/人)を満たす必要あり。
13
ハウスルール
騒音・ゴミ出し・火災防止など、宿泊者が守るべきルールを文書化。近隣住民への配慮が求められる。
14
外国人対応
設備案内・災害時連絡先などを外国語で準備。英語・中国語・韓国語などが一般的。
15
計画の掲示
届出20日前から、事業概要を届出住宅の見やすい場所に掲示。近隣住民への説明も必要。
16
消防法令適合通知書
消防署で事前相談・現地調査を受け、通知書を取得。届出書類に添付(有効期限3か月)。
17
届出書類の作成
正副2通を「とじ込み順」に従って作成。フリクションペンや修正液の使用不可。

📄 詳細なリストはこちら → [京都市HP 届出に至るまでの簡易チェックリストPDF]  https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000287/287839/05tyekkurisuto.pdf

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